【税金】【世界で最も稼いだ女優】中国のファン・ビンビン(范冰冰)、約２３億円脱税で罰金１４６億円　総資産５００億円

　米ハリウッドでも活躍し、中国一の美女とも評される女優ファン・ビンビン（３７）と関連企業について、中国国家税務総局などは映画の出演料を巡り計約１億４０００万元（約２３億円）を脱税したと認定し、罰金約８億８０００万元（約１４６億円）の支払いを命じたことが３日、分かった。新華社電などが伝えた。ファンは５月末に“脱税疑惑”が報じられた後の６月初旬から公の場に姿を見せず、消息不明となっていた。

　「世界で最も稼いだ女優」として米経済誌フォーブスに選ばれ、「Ｘ―ＭＥＮ　フューチャー＆パスト」（２０１４年）などハリウッド映画にも出演していたファンに“失踪騒動”が起きてから約４か月。「公の場」で明らかになったのは、１４６億円もの罰金が科せられたという事実だった。

　新華社電によると、税務当局は６月、ファンが映画出演の際に偽の契約書を作成し、契約料を過少申告した疑いがあるとして、調査を開始。脱税の事実が確認されたという。ファンと関連企業が９月３０日に支払いを命じられた罰金は、追徴課税や滞納金など約８億８０００万元。脱税額の６倍以上にも上った。このほか、ファンのマネジャーらが会計帳簿の破棄を指示するなど脱税の隠蔽を図った疑いで、公安当局の取り調べを受けているという。

　中国の映画業界では法外な出演料や脱税などの腐敗が横行。当局はファンを厳しく処罰することで業界の健全化を促す狙いがあるとみられる。

　ファンはこの日、自身の短文投稿サイト「微博（ウェイボ）」を約４か月ぶりに更新。「謝罪の手紙」と題したコメントを発表した。コメントでは「長期にわたり個人の利益を優先させたことを恥ずかしく思う。すべての罰を受け入れます」とした上で「自分の存在は国家と国民の皆さんの愛がなければありえないこと。おわびします」と陳謝。「今後はルールを守った上で、よい作品を皆さんに提供していきたい」とした。

　ファンの脱税疑惑に関しては５月末に中国のアナウンサーが資料を示しながら告発。同国では、出演契約を結ぶ際に実際の出演料よりも安い金額を記した「契約書」と、本来の金額を示した「裏契約書」の２通が存在する「陰陽契約」を行っていると指摘した。ファンはそれまで定期的に行っていた微博の更新を６月２日を最後にストップ。公の場から姿を消し、心配する声が上がっていた。ファンが出演し、日中戦争時の重慶爆撃を題材にした映画「大爆撃」（ブルース・ウィリス主演）も公開が延期されている。

　総資産が５００億円ともいわれるファン。コメントは発表したが、現在も所在は明らかになっていない。

　◆ファン・ビンビン（范冰冰）１９８１年９月１６日、中国山東省青島生まれ。３７歳。上海師範大学謝晋影視芸術学院卒業。９６年、ドラマ「女強人」でデビュー。２００１年からは映画にも進出し、０７年には日中合作映画「墨攻」に出演。他の主な出演作に「マイウェイ１２０００キロの真実」、「Ｘ―ＭＥＮ　フューチャー＆パスト」、「スキップ・トレース」など。１０、１１年にはサントリーウーロン茶のＣＭに出演。１７年、カンヌ国際映画祭の審査員を務める。同年９月、中国俳優リー・チェンとの婚約を発表。