馬具工房からスタートしたエルメスはものづくりから生まれた世界的ブランドであり、その歩んできた道のりには日本のアパレル、ひいては日本のものづくりの未来にプラスとなるヒントが潜んでいました。
山田:エルメスが創業した1837年は、馬車が交通手段の主流でした。馬車から汽車、そして自動車へと交通手段が発展していく中で、時代に取り残された馬具職人は多かったのでしょうか?
齋藤:馬車から汽車への移行は大きなパラダイムシフトであり、多くの馬具職人は変化に対応できませんでした。時代に淘汰されていった職人やブランドは数知れません。鞍などの馬具を長らく作ってきて、いきなり需要がなくなったわけですから、「さあ、別のものを作ろう」とはそう簡単に切り替えられなかったのでしょう。
山田:その中でエルメスが時代に適合できた理由はどこにありましたか?
齋藤:使い手の存在は大きかったと思います。ナポレオン3世やロシア皇帝など、創業時からエルメスの顧客には貴族がたくさんいました。こういった特権階級の人たちは時代の流れに敏感です。「汽車で旅をするためにかばんがほしい」などの要望が寄せられ、それに応えていく中で馬具以外の製品を作るようになっていきました。
山田:それまで馬具で生かしていた技術力を、かばんや財布などの皮革製品に向けるようになったわけですね。
齋藤:腕時計や服飾品、香水などに関しても同じことが言えます。もちろんブランドとして時代の先を読む目もありましたが、世界的ブランドに成長できた理由はそれだけではありません。顧客と一緒に発展を遂げてきたと言ったほうが的を射ていると思います。
山田:ヨーロッパで馬車文化が衰退した時代、日本でも明治維新という大きなパラダイムシフトがありました。生活様式が激変したことで、ヨーロッパの馬具職人のように時代に埋没していった職人も多かったのでしょうね。
齋藤:着物はまさに顕著じゃないですか。それまではみんなが着物をまとっていたのに、突然みんなが洋服を着るようになったわけですから。
山田:職人にとっては信じられない出来事ですよね。あって当たり前だったものがいきなりなくなるという。意地やこだわりもあるでしょうし、適合は難しかったのでしょう。
齋藤:でも生き残る道はあったと思います。着物を作る技術を洋服に生かして両方の良さを取り入れていれば、今とは違う形で進化していたかもしれません。
山田:今の着物はレガシーとしての良さがありますが、もっと生活に身近な存在として根付く可能性もあったと。
齋藤:ヘアスタイルも同じですよね。江戸時代は髷(まげ)が一般的でしたが、明治維新からはまげを下ろすようになりました。職人の気持ちもわかりますが、そこで「髷しかできません」ではいけません。いくら髷を上手に仕上げる技術があっても、それは時代に求められていない。
山田:時代に合わせて技術をモデルチェンジしていくことも必要なのですね。
齋藤:ヘアスタイルに関してこんなエピソードがあります。1858年に日米修好通商条約を締結したタウンゼント・ハリスは、初代駐日公使として東京・麻布のアメリカ公使館にしばらく滞在していました。髪を切りたくなったハリスはある日、洋式の散髪を学んでもらうために近所の理容師の息子を横浜まで連れて行きます。その息子は、東京初の西洋式理容師と言われていて、今も麻布に店があるんですよ。
山田:示唆に富んでいるエピソードですね。もしハリスからの誘いを断っていたら……。
齋藤:どうなっていたでしょうね。その理容師に先見の明があったのかどうかはわかりませんが、確実に言えるのは、顧客に対して目が向いていたということです。自分のこだわりよりも、「ハリスさんが求めているからそれに応えよう」という気持ちのほうが大きかったのでしょう。
山田:頑固一徹ではなく、柔軟性を持つことの大切さが伝わってきます。
齋藤:服にしても髪型にしても、新しい概念が現れたときには、多かれ少なかれ職人は戸惑うものです。でもそこで「これはできない」とあきらめてはいけません。むしろ「これはできない」と思うことは、職人が新境地を切り拓くためのきっかけだと思っています。
http://toyokeizai.net/articles/-/205212
ブームだったとしか言いようが無いよな。
本当に良い商品は、小さな老舗で作られている場合が多い。
使ってるのは馬に乗る人くらいじゃ?
まぁ、その程度。
欧州では違うね
洋の東西を問わず「皮なめし」は賤業ですよ
しかしそれを加工する職人は差別されないどころかマイスターですね
日本でも皮細工職人に被差別階級が従事することは出来ませんでした
(´・ω・`) なめとんか
言ってる奴誤りって分かるよな。
シンガポールとかドイツみたいに早すぎるうちに
階層を固定したら国富や国のイメージを高める人材が
出てこれなくなる。
それは高いから。
靴はジョンロブ
服はユニクロ
馬具や鞄だけならともかく、自社では作れない時計や靴とかのOEM製品にタグ貼るだ
けで倍近い値段で売りつける詐欺まがいのやり方はこれからはもう通用しないだろう。
>自社では作れない時計や靴とかのOEM製品にタグ貼るだけで
>倍近い値段で売りつける詐欺まがいのやり方はこれからはもう通用しないだろう
でも、それがブランド商法であり
エルメスがそういうブランドにいかにしてなったのか?
というのが問題であって
そもそもなぜ貴族向けの馬具屋になれたのか?
本質はそこだろ。